【moral】 /BL
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成人向完結
発行者:鵺央
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/05
最終更新日:---

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【moral】 /BL 第3章 稔。
「まぁな」
どうってことない。痣なんか時間が経てば消えるし、傷口だってそのうち塞がる。肩を竦めて見せると、稔がきゅっと唇を噛んだ。何故か自分が泣き出しそうな声で言葉を吐き出す。
「……もう、あんなトコ行くなよ……」
僕の額に手を伸ばし、長めの前髪をかき上げながら稔が僕の顔を覗き込んだ。そんなこと、稔に言われる筋合いはない。一人でいるのに耐え切れない夜だってあるのだ。一夜の温もりに縋って何が悪い?
「……お前には関係ないだろ?」
僕が僕の体をどうしようと、稔には関係ない。
「関係なくない。なんで俺が春ちゃんが父さんを好きなのわかったか、わかる?」
泣き出しそうに瞳を揺らし、稔が僕の首にしがみ付いて来た。肩口でくぐもった声がポツリポツリ、言葉を紡ぐのをぼんやり天井を見つめながら聞いていた。
「春ちゃん、いつも寂しそうな顔で父さんのこと見てた。最初はなんであんな顔してたのかわからなかったけど、俺も大きくなって、わかったんだ。春ちゃんは父さんが好きだったんだって……春ちゃん?俺もきっと同じ顔をして、春ちゃんを見てたんだよ?小さい時からずっと春ちゃんが好きだった。突然いなくなって、ずっと探してたんだ」
顔を上げた稔がバカに真剣な顔をして、僕を見つめた。そう言えば、僕が義兄を好きになったのも今の稔くらいの歳だったっけ。そんなことを思い出しながら、目の前の顔に手を伸ばし、触れた。指先同様、頬も酷く冷たかった。真顔なら平らな頬、義兄とそっくりな…僕の掌に頬を預けゆっくりと近づいて来る顔を、瞳を開いたまま見つめていた。
「父さんは母さんのものだけど、俺はまだ誰のものでもないよ?春ちゃん、俺じゃダメなの?俺なら春ちゃんのものになってあげられる」

 目の前で揺れる長い睫毛を眺めながら、僕は瞬き一つもせずに稔のキスを受けた。
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