【moral】 /BL
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成人向完結
発行者:鵺央
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/05
最終更新日:---

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【moral】 /BL 第3章 稔。
稔から顔を背け小さな声で聞いた。ギリギリの生活から、出せる金額はそう多くはない。稔は小さな笑い声を立て、僕の顎を掴んだ。 自分の方へ僕の顔を向け、僕の顔をマジマジと見つめる。
「春ちゃん、昔と変わってない。歳、取ってないみたい」
顎を掴まれたまま、親指の腹で唇をなぞられた。ぞくりと鶏肌が立った。
「父さんに似てれば、誰でもいいんだろ?春ちゃん、俺にも抱かせてよ」
耳元で囁くようにそう告げる声は、記憶の中の義兄のモノに良く似ていた。そんなこと、できるわけない。稔の手から逃れるように部屋に上がり、左右に首を振った。
「できるわけないだろ?バカなこと言うな。もう、帰ってくれ」
稔は拗ねたように唇を尖らせ、ヤダ、と小さく呟き、僕を追って部屋に上がり込んで来た。後退る度に体のあちこちが悲鳴を上げる。狭い部屋の中、逃げられるスペースは限られていた。あっと言う間に部屋の隅に追い詰められた。最悪だ。どうせなら、死んでしまうくらい強く殴ってくれればよかったと、先程の相手を恨んだ。
「俺、そっくりだろ?顔も声も、父さんに」
伸ばされた手を避けようと身を屈めると、下肢に鋭い痛みが走り、堪らず呻きを漏らしてしまった。内股に生暖かい液体が滑り落ちる感触。薄いカサブタが割れたのだろう。しゃがみ込んだまま動けなくなった僕を稔は訝しげに見つめ、すぐ傍に座り込んだ。
「春ちゃん……?」
なんでもない、と首を振るが稔は心配そうに僕の顔を覗き込み、手を伸ばし僕の前髪をかき上げた。やめてくれ、触るな。稔は僕から離れると、部屋の隅に畳んで積まれた布団を広げた。そしてそろそろと僕を抱き上げるとその上に下ろした。シャツのボタンを外そうとする手を慌てて掴むと、稔は緩く首を振り「何もしない」と小さく呟いた。シャツの前をはだけると稔は息を飲んだ。シップの貼られた肌には隠しきれない鬱血も無数に浮いている。
「これ、さっきのヤツが……?」
稔が低い声で問い、痣をそうっと撫ぜた。冷えた稔の指先が赤黒く熱を持った箇所から熱を奪った。そう言えば、ずっとホテルの前で待ってたんだろうな。冷えたのは指先だけじゃないだろう。バカなヤツ。僕のことなんか放って置けばいいのに。
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