【moral】 /BL
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成人向完結
発行者:鵺央
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/05
最終更新日:---

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【moral】 /BL 第3章 稔。
「春ちゃん、あの人、誰?」
 7年前に9歳だった稔は今年で16になったはずだ。身長はすでに僕よりうんと高くなり、記憶の中の顔よりずっと、大人びた顔をしていた。精悍さを増して、ますます義兄に似ていた。部屋の前で、突然問われ、首を傾げた。「あの人」?
「春ちゃんと一緒に、ホテルに入ってった人」
稔の言葉に僕は瞳を見開いた。見られて、たのか?返事をできないでいる僕に稔が淡々と言葉を紡いだ。
「ゲーセンで遊んでたら春ちゃんを見かけて、後をつけたんだ。恋人じゃないよね。待ち合わせって感じじゃなかったし。春ちゃんに何人か声をかけた後にあの人が声をかけて、春ちゃんはあの人と一緒にホテルに入ってった。でも、出てきたのは一人ずつで、春ちゃんはどっか怪我してるみたいだった。住んでるところを知りたくて、俺、ここまで声をかけられなかった。なんで突然いなくなったんだよ」
最後は責めるように言われ、僕は拳を握り締めた。最初から、ずっと見られていたのか。義兄そっくりの瞳が哀しそうな瞳に怒りの色を滲ませ、僕を見つめていた。その瞳に耐えられなくて、僕は稔から視線を反らした。
「稔には関係ないだろ。用がないなら帰れ」
震えそうになる声をなんとか制して、後ろ手に扉を開けると体を滑り込ませた。素早く扉を閉めようとしたが、それより早く、扉の隙間に稔の足が入り込んでいた。
「そんなこと言っていいの、春ちゃん?俺、父さんに言っちゃうかも知れないよ?」
扉の隙間から、稔が微笑むのが見えた。義兄にはない笑窪が両頬に丸い影を作る。
「春ちゃん、父さんのこと好きだったでしょ?ううん、今も好きなんじゃないの?さっきの人、背が高くて父さんになんとなく似てたし」
僕が相手に選ぶのはいつも背の高いスポーツマンタイプの男だった。義兄にどこか似てる人。稔は僕を強請ろうとしてるのか?僕が怯んだ隙に稔が扉を強引に引き開け、部屋に入って来た。稔は玄関脇のスイッチを勝手に押し部屋の電気をつけ、他人を誰も入れたことない部屋を無遠慮に見回した。
「……小遣いが、欲しいのか?」
稔から顔を背け小さな声で聞いた。
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