【moral】 /BL
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成人向完結
発行者:鵺央
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/05
最終更新日:---

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【moral】 /BL 第7章 そして、
そう言えば、編集さんに口止めしてなかったな、なんて今更ながら思った。ホント、バカみたいだ。母さんが様子を見に来てたって?僕は全然気付かなかった。いじけて、殻に閉じ篭って、僕は自分のことしか考えてなかったのか。
「春ちゃんが……その、男の人しかダメだってこと知って、お母さん、結婚を促したことを後悔してたわ」
姉が風に乱れた髪をかき上げ、立ち上がった。ほぅっと溜息を漏らし、フェンス際まで行くと振り返り目を伏せた。しばらく考え込むようにしてた姉が顔を上げ、まっすぐに僕を見つめた。
「でもね、春樹。両親がそうしたのは、自分が大変な思いをしたからだと思うの。春樹は親が歳を取ってからの子供だったし、体力的にも厳しいものがあったんだと思うのよ。だから、早いうちに家庭を持って、子供を育てて欲しかったんだと思う」
頬を撫でる風が、急に冷え始めた。姉が少し困ったような顔をして近づいてくると、スカートのポケットからハンカチを取り出し、僕の頬をそっと撫でた。僕はいつの間にか泣いていた。
「僕は……僕が邪魔なんだと……僕が邪魔だから…厄介払いしようとしてるんだと……」
子供のように泣きじゃくりながら言葉を零す僕を姉はそっと抱き締めてくれた。ぽんぽんと背中を叩かれているうちに、僕がまだうんと小さな頃、泣いている僕を姉はよくこうやって慰めてくれていたことを思い出した。僕は優しい姉が大好きだった。不器用だけど一生懸命仕事をする父が大好きだった。疲れた様子も見せずにいつも笑っている母が大好きだった。どうして、忘れていたんだろう。
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