【moral】 /BL
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成人向完結
発行者:鵺央
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/06/05
最終更新日:---

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【moral】 /BL 第7章 そして、
 姉と稔は毎日僕の病室を訪れた。週末には義兄もやって来たが、もう義兄に特別な感情を覚えることはなかった。学校帰りにやって来ては甲斐甲斐しく僕の世話を焼く稔に、姉は諦めたような顔をして溜息を漏らしていた。
僕が知らない間に、父は胃癌を患い寝たきりになっていた。癌の転移はなく術後の経過も順調だったそうだが、父はもう70も過ぎ体力が大分落ちてしまったらしい。僕の事件を聞き倒れてしまった母だって直70になる。まだ外を歩き回れるほどは回復してないんだそうだ。親ばかりが歳を取るわけじゃない。いつまでも僕だって子供でいていいはずがなかったのに。

 折れた足の骨はまだくっつきはしないものの、起き上がり松葉杖をついて歩けるようになったある日、姉が屋上へと誘った。

「……稔がね、春樹は捨て犬みたいな眼をしてたって言ってたわ」
 病院の屋上、ベンチに並んで腰を下ろした。ぼんやりと眼下の風景を眺めていると不意に姉が口を開いた。姉の方へ顔を向けると、僕の目の前で白髪交じりの長い髪が風にふわりと揺れた。
「春樹は一人ぼっちだって、泣いたのよ、あの子」
口元に僅かに笑みを浮かべ、姉は遠くを見るような目をして言葉を続けた。「でもね」とこちらを向いた姉の瞳はとても優しかった。
「アパート、ずっと知っていたの」
姉の言葉に、僕は眼を見開いた。僕のこと、探してる素振りなんかなかったじゃない。
「春ちゃんがお世話になってた編集さんが教えてくれたの。あたしは尋ねて行こうと思ったんだけど、親が止めたのよ。春樹が出て行くのなら、それだけの理由があるんだろうからって。そっとして置こうってね。でも……お母さんは時々遠くから様子を見てたみたいだった。稔が春ちゃんのとこに行ってるって、お母さんに聞いたのよ」
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