神王~DANTE~ 【BL】
第5章 課題
カロンが背から降りた瞬間、仔馬は元気に駆け出した。
広い訓練場を好きに駆け始める仔馬の後姿を、カロンは目を細めて眩しそうに見つめている。
「シロの調子はどうよ。」
「だいぶ戻って来ましたよ。」
白馬がカロンに甘える様に頭をすり寄せた。カロンは白馬の顔を優しく撫でて、顎を掻く。
産休の為、およそ一年は前線から離れていた白馬だが、次の遠征には間に合いそうである。
黒曜石の目も、母のものから軍馬のものへと戻りつつある。
「まだ子供と一緒に居たいだろうに…ごめんなー…。」
謝るカロンに、白馬は気にしないでと言う様にブルリと鳴く。
カロンは指笛を奏で、仔馬に帰る合図を送れば、仔馬はカロン達に駆け寄って母親に頭をすり寄せた。
が、まだ足りないとカロンの体を甘噛みし始めた。
「いたた、痛い痛い、わーかったから!ほら、行って来い。ったく…。」
「それでは、お先に失礼します。後ほど、本日の報告に向かいます。」
「あいよー。シロ、また後でな。」
セーランと白馬のコンビに別れを告げ、納屋の前にあるベンチに腰を下ろした。
楽しそうに駆ける仔馬は、セーランの愛馬の様な優雅さの中にカロンの愛馬の様な雄々しい走りを垣間見せる。
「あいつは良い軍馬になるよ、ホント。」
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