神王~DANTE~ 【BL】
第5章 課題
◆
――――くしゅん…
「…あ?」
自分のくしゃみでカロンは目を覚ました。瞼を押し上げれば、見慣れた自室の天井だった。室内は薄い闇色に染まっていた。
あの夢精の後、再度風呂に入り、暑いからと全裸で薄いシーツに身を包んで眠りに就いた。
頭を掻きながら身を起こして時計に目を向ければ、夕方の五時。
「あー…寝過ぎたか…。」
立ち上がり、簡単なストレッチを繰り返しながら、窓際に近付いて行く。
窓を開き、桟に肘を着いて窓の下を覗き見た
「よー、黒椿。」
返事をする様にブルンと鳴いたのは、厩から抜け出して来た黒馬の黒椿。
「まーた逃げ出して来たのかー?」
またも返事する様にブルンと鳴いた。
仔馬に待つように指示し、下着とズボンを身に着けてサンダルを窓の外に放り投げた。己の身も窓の外に投げた。サンダルを足に掛け、仔馬の顔を撫でてやる。
「クロとシロが心配してるから帰ろうな。」
歩き出せば仔馬もトコトコと着いて行く。
「そろそろ、お前用の厩を作らなきゃなー。」
ひらりと仔馬の背に跨げば、よろける素振りも見せずに重さのあるカロンをしっかりとその背に乗せていた。
将来、良い軍馬になると仔馬に揺られながら空を仰ぎ見た。
軽く腹を蹴れば、軽い駆け足になり、再度蹴れば強く地を蹴って駆け出し始めた。
「あ、こら、厩はそっちじゃねーだろ。」
注意をするものの、その顔は満面の笑み。
辿り着いたのは、馬を調教する訓練場。そこには、セーランと愛馬の白風が訓練後なのか、ゆっくりと歩いていた。
「お疲れさん。」
「…黒椿、また抜け出したんですか?」
「おう。ほら、走って来い。」
24