春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第1章 写真
「君は、いい子だな。
皓にはきっとそれが一番嬉しいのかもね」

彼は優しい目で俺を見て、皓様の名前を呼ぶ。

いったい二人はどういう関係なんだろう。会ったのは5年ぶりだと言うけど、それにしては2人の間には何か親密な気配がする。

さっきのセックスの話だって、まるで知っているような口振りだった。



「あの、」


聞いていいのか迷った。だけど彼は気さくに頷いて先を促す。


「うん?」


「皓様とは、どういった?」



「秘密だけど、つき合っていたよ。
彼がまだ二十歳ぐらいの時にね」


「そう、ですか…」


ああやっぱり、
胸がずくっと重くなる。
この人は俺の知らない皓様を知ってる。



「でもね。君達みたいな恋人ではなかった」


彼は沈んだ俺を宥めるように、過去を思い出すように和らかに微笑した。



「あの頃、私にはすでに妻子がいたし、皓もそのことを知っていた。
だけど、遊びと言うには、皓のことは可愛く思っていたし、あの子も私に懐いていた。
恋愛とは少し違ったかもしれないけど、ね。


あの子はあれでとても情の深い子だから。ちゃんと恋人ができて良かった」


「皓様の子どもの頃を
知っていますか?」



「子どもの頃か。
私が彼に出会ったのは19歳だったからね。今から見たらそれは子どもだが、」

「どんな感じでした?」



「美人だったよ、まあ今もそれは変わらないか。
ああ、そうだ。
そうだった。ちょっと待っていて、すぐ戻るから」


彼は何を思い出したのか、そう言ってリビングから出ていき、急いた足音が階段を上る音が聞こえて来た。


数分も経たないうちに足音は階段を下ってきて、小さなアルバムを手にしてリビングに戻って来た。



「お待たせ。
皓はまだ電話中だった。丁度いい」


手にしたアルバムは埃にまみれていて、パンパンと叩きながら、俺の座っているテーブルにそれを置いた。


「皓の学生時代の写真だよ。開けてごらん」


「皓様の学生時代‥?」


「そう、びっくりするから」



本人のいないところで昔の写真を見てしまうことに、少しの罪悪感はあった。

だけど、いつも俺のことを子ども扱いする彼の過去という誘惑には勝てなかった。
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