春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第4章 ケンカ
俺の何気ない行動が、多感な年頃である光の矜持を傷つけ、言葉にする以上の閉塞感を与えたのは、潔に叱られなくても、雪に困った顔をされなくても光の反応でよく分かった。



更に、起こってしまったトラブルは覆水で盆には返らない。


教室で光の身元を知っていたのは、師匠だけだった。

だから教室は、光にとって俺の稚児という肩書きから唯一逃れて、人間関係を築いていた場所だった。

だが、仲良くしていたお弟子さんにも光の身の上が知れた。

月白家はこの辺り一体の領主の家系であり、俺は今やその権力を一手に握っている。そして光は俺の稚児だ。


好奇の目にさらされると言うより、腫れ物扱いされたようだった。


光は目に見えて落ち込み、
一年前のように食事を残すようになった。

ただ、光のストライキは数日で終わった事を、俺は王都で雪からの電話連絡によって知った。


前なら、俺が屋敷にいてもいなくても食事が喉を通らなくなってしまうようだったが、今は普通に腹が減るらしく、俺が王都に入った日から普通に食事をしているという。

その健全さに救われた。



そして、王都から帰った俺を光は玄関で少し緊張した顔で迎えてくれて、俺は安堵して力が抜けた。




結構、光は生け花に通う時間を噂話の好きなおば様達が帰った夕方にずらすことを選んで、事態は一様終結した。



あれは光の世界に無闇に入り込もうとしてはいけない事を、身を持って知った事件だった。


光には光の世界があって、それは俺が用意した箱庭の中には収まりきらない。

無理に縛れば、軋轢を生む。

なら、外へ外へと感心を寄せる光に対して、俺が取れる対策は、彼を俺の世界に招き入れることだった。


不思議と光は俺の誘いを嫌がらない。それが仕事の合間のランチでも。



今も、彼は穏やかに微笑してサンドイッチを頬張っている。



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