春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第3章 嫉妬
「そう言えば、光に彼女がいたって本当?」


潔様の謎の発言に、お茶を淹れていた私の手はがしゃん、と派手な物音をたて、お館様は湯のみを口元に運んだ手を不自然な姿勢のまま止めた。


「なに?」


お館様の声がいっきに低くなったことに私だけでなく、言い出した潔様もしまった、という顔をした。



「あれ‥、皓様知らなかった?」


「雪、何の話?」


「いえ、あの。
年末に光さんの故郷に行ったとき、弟さん達がちらっとそんなことを」


「言ってたの?」


お館様の声が固い。
どちらかと言えば、いろんなことに執着の薄いこの方でも、光のことだけは特別なのだ。


「言ってたような、言ってないような」

「いや、皓様が知らないならいなかったんだよ。ね!」


「そうですよ。
光はこちらに来たとき、15になったばかりですもの。
そりゃ、綺麗な子ですけども」


まだ子どもだし。とは、お館様の前では言えない。
だけど潔様もそうだそうだと頷く。



「仮にいたとしても、朝、手をつないで登校するようなお友達だよ。
幾ら田舎の方は結婚や出産年齢が早いって言ったって」


言わないで、と願った私の思いは潔様には届かず、彼は最大の禁句を口にした。



「15なんてお子様だもん」


「‥‥‥悪かったな、お子様で」


今度こそ確実にお館様の機嫌がひん曲がったのを確信して、私は今は出かけていていない光に心の中で謝った。



「いや、そう言うことじゃなくて」



丁度そんなとき、トントントントンと丁寧に居間の戸がノックされて、外から帰ったらしい当の光が顔を覗かせた。



「今帰りました。
みんなでお茶ですか?」


逃げなさい、とは言えず曖昧に頷いた。嫌なタイミングで帰ってきてしまった。



「おかえりー、光。
手を洗って来なよ。お茶にしよう」


「いや、光は俺とおいで。
部屋に行こう」


「いやいや、光はきっとおなか空いてるよ。ねっ、空いてるよね」


「はい?」


「光、おいで」
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