春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第3章 嫉妬


光は最近少し大人しい。
育ち盛りイタズラ盛りな光に、若干手を焼いていた俺や潔には、寧ろその方があり難いが、雪は心配した。


「光は十分大人しい子です。
もともと農家の長男ですもの、花壇を好きにしていいと言われれば、大根ぐらい植えますわ。なのに、今は…」


もともとは小さな花壇だったそこは、一年かけて光の家庭菜園に姿を変えていた。

去年ふさぎ込みがちな光が花が好きだと知って用意したはずが、彼はチューリップが咲終わると、キュウリやトマトを植えて、冬には大根も採れた。

光はこの家庭菜園がお気に入りのようで、こまめに手入れをしていた。
時々、可愛い顔に泥を跳ねさせていることもあって、ああ男の子だなぁと眺めていた。

そして、こっそり(本人は多分こっそりのつもり)、その畑は日増しに拡大していた。

光の家庭菜園は庭の正面からは見えない裏手だったが、拡大するにつけて正面からも見えるようになってしまった。

実はささやかでいて、結構な悩みの種だった光の家庭菜園だが、今は何も植わっていない。 枯らしてしまったわけじゃない。ただ、次の苗を植えないのだ。


「飽きてくれたなら、いっそ有り難いんだけどね」



そう言いながらも、潔もまっさらな畑を見て気がかりな顔をした。


家庭教師に習い事と、最近彼は忙しいし、人間関係も制限付きだが広がっているから、飽きたというなら、それでいい。 だけど、やめてしまった時期が弥生様との写真事件と被るのが気になった。








「畑、どうしたの?
何か、新しい苗買いに行こうか?」


「畑はお休み中です」


「そう‥。
それならそれでいいんだが」


何でお休み中なのかは教えてくれないのかと、腕の中の顔をのぞき込むと、光は欠伸をかみ殺していた。

時間はもう深夜だ。
眠いのだろう。



「畑は、休ませてやらないとおいしい野菜は育たないんです。
働き続けてると、土が痩せてしまうから」


「そうなの?知らなかった」


光は俺の知らないことをよく知っている。


「あの畑は働き通しですから、今季は寝かせます。人間と同じです。寝ないと頑張れない」


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