春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第2章 歌と花と
他人に、ましてや皇太子殿下に向かって、俺は家族への愚痴をぶちまけていた。
身分がバレた後も弥生様は余りにもいつも通りだった。



「追い出した訳じゃないだろう?
長男が家を継げば必然的に次男は家は継げない。領地を分け合えば、いずれは家の衰退に繋がる。


君の父上は、後々君達兄弟が苦しまないよう、早くに君を家から出したんだ」



「俺はもう少し、みんなと居たかった。父はいつも、俺の話を聞いてくれなかった。

楽器を弾くのが好きだと言っても歌を歌いたいと言っても聞く耳持たずで、王都に行けと言うなら音大に行きたかったのに無理やりあの学園に放り込んだ」


泣いて不満をぶちまける俺を弥生様はよしよしと子どもを宥めるように頭を撫でて話を聞いていた。



「大事な息子だ。
安心出来る学園に預けたかったんじゃないのか。
まあ君は、まんまとその父上の心配を裏切って、俺と寝てしまったわけだけど」


弥生様は茶化すように笑って俺の頭を撫でた。


「君は父上が好きだし、愛されてる。
そのことを自分でも良く知ってるよ」



「弥生様‥」


「君は家族が好きなんだ。
離れ離れになったのが寂しくて、少し拗ねてるだけだ」



そうだ、
俺は兄上も父上も好きだった。
なのに、父は俺が歌を歌いたい、歌手になりたいといくら言っても受け入れてはくれなかった。

外に習いに行くことは禁止されなかった。歌や楽器に限らず、花もお茶も好きだということはなんだって習いに行かせてくれた。

だけど将来の仕事だけは月白の男子として恥ずかしくない生き方を、と言い続けた。


そんな俺と父を兄と母はいつも困った顔で見ていた。

あの頃すでに、兄には少しの自由もなかった。月白の当主となるべく学ぶものは決まっていた。
だけど愚痴をこぼすこともなく、騒ぎばかり起こす俺を庇って、お前は多芸だねと褒めてくれた。


「傍にいたかった…。
認めてほしかった」



「これから、まだまだ時間はある。
ゆっくりわかり合えばいい」


「‥‥‥はい」


彼は柔らかく微笑んで俺の頭を撫でた後、真剣な顔をして今後について話し始めた。


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