春夏秋冬 Ⅱ
第1章 写真
「‥ご無沙汰して、おります」
この方を相手に、何と答えたらいいのか、どんな態度をとったら適切なのか‥。まさかこんなところで顔を合わせることになるとは。
「ああ、本当に。
噂は聞いていたよ。
立派にしてるみたいで、良かった」
「はっ、」
いや、この方は、この国の皇帝だ。
一領主として、官吏としても仕えるべき主だ。どこで会ったとしても。
しっかりしろと、と軽く頭を振る。
「堅くならなくていい。
お互い仕事じゃないんだから。
ところで、その子は?」
陛下の視線の先には、不安そうに俺を見上げる光がいた。
「私の恋人です」
自然に口がそう答えていて、光がぼっと顔を赤くしたのがおかしくて可愛かった。
‥光の顔を見たら尋常じゃないくらい早くなっていた心臓がようやく落ち着き始めた。
「そう、そんな人がいたんだね」
弥生様は、ほっとしたように口を和ませた。
「はい」
そうだ。俺はもう二十歳の頃とは違う。
「君の子どもの頃を思い出すような綺麗な子だな。面食いか、君は」
「私の子ども時代はともかく、この子は可愛い子です」
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