春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第2章 歌と花と
「店を売る?」



「ああ、俺達ももう三年だからな。
そうそう遊んでばかりもいられない。

あの店に出資した分は回収できたし、今まで従業員達に滞りなく賃金も払えた。
もう十分だ。

目が届かなくなって負債を出す前に売却するよ。

月白は好きなようにしていい。
お前の歌は十分客を呼べる。残ってくれるなら、新しいオーナーも喜ぶ」



橘の話は、俺には随分唐突に聞こえたが、相当考え根回しした上でのことのようだった。
思えば当然だ。
俺達は既に三年生も中盤に差し掛かっていた。これからは本格的に学業と将来への下準備にはいる。
時間が来たのだ‥。



「いや、‥橘が辞めるなら、俺も辞める」



「いいのか?
華山様も聞きに来てるんだろう」


弥生様のことは、橘も知っていた。
ふらふらし続ける俺のことを、橘は橘なりに心配してくれていたようで、弥生様と付き合い出したのを喜んでいた。

決まった人ができたなら、その方がいい、と。
だけど、俺達はお互い納得した上で遊びだった。



「もう遊んでる場合じゃないのは俺も同じだ。お前の店が居心地のいい舞台だったのは、お前の店だったからだし」


橘が辞めるなら、あの店に執着する理由はないし、橘が最初から遊びで店を始めたのもよく知っていたから、今更文句もなかった。

華山弥生とは、あの店じゃなくても会える。


そう思っていた。



華山弥生の正体に気づいたのは、それからすぐのことだった。

















俺が二十歳、兄上が二三歳の時、
兄上は正式に月白家の当主となった。

その報告のため俺は兄と父上と潔とで、陛下の謁見に出かけた。

そこに陛下の名代として陛下の三男が現れた。その方こそが、弥生様だった。


俺も弥生様も一瞬にして事態を悟った。

お互いにはじめて会った振りをし、余計な口は一切利かずにその場を後にした。



こうして兄上は月白家を継いだ。
それから幾日かして、弥生様が正式に皇太子となることが発表された。
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