春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第2章 歌と花と
そしてたどり着いたのが花街だった。
目当ては当然女だったが、橘の狙いは次第に色より駆け引きへと趣向を変えた。

アイツは昔から商業的なセンスに富み、その力を試す場所を花と金と情報が入り乱れる、その街に決めた。


かくして、橘は学生の傍ら、実家の財力を利用し花街の1店舗の雇われ店長となった。そしてその店が使えると判断すると直ぐに、その店を買い取り自分がオーナーとなる。


金のない客が遊びに来る場所ではなく、大人のための隠れ家、そんな店に変えていく。

未成年である自分は決して表にでず、人を使ってそれを行っていく橘の手腕は見事だったが、同時に自分が動かない、動けないことの歯がゆさや危うさも、この頃の橘から学んだ。



ゆっくりと慎重に、だけど確実に売り上げを伸ばし、細い糸を夜の町に張っていく橘の手腕に刺激されつつも、自分は女を抱いたり抱かれたりする方の遊びに夢中だった。

そして、もう一つ夢中になっていたものがある。橘の店で歌っていた。

まだ外国語が一般の教育に上がらなかったこの頃、俺の歌う洋楽は少し話題に上った。

他にもバックミュージック替わりにギターを弾いたこともあった。これは当時つき合っていた女が教えてくれた。

俺は将来は官吏になろうと志す一方で、歌うことや楽器を弾くことが凄く好きだった。だけど、それで生活していけるような腕ではなく、ましてや月白家の次男である俺に、そんな生き方は許されなかった。


足掻いていた。


どうにでもなると、何でも手には入ると思っていても、学園という狭い世界から一歩外にでれば、手には入らないものはいくらでもあった。


俺は昼は優秀な学生で、
夜は先行きのない歌手だった。
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