春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
春夏秋冬 Ⅱ 第1章 写真
「今頃君の目に触れるくらいなら、あの時にほかの写真と一緒に焼いてしまうんだったよ」


「‥なんで?」


そんなに俺が見るのは駄目なのかと、うなだれる。
だけど、皓様は俺の頭を撫でながらやっぱり困った顔で笑う。


「恥ずかしいよ。
若いときの馬鹿を君に見られるのは。
弥生様の手の込んだ意地悪だ」


「俺は、見たいのに‥」


「見たいの?」


ちょっと不思議そうな顔をする皓様の顔を見上げる。
夕陽が眩しかった。



「見たいです」


「なんで?」


尋ね返してくるのは、甘くて優しい声だ。怒ってはいなそうだと、ちょっと安心する。



「皓様の写真だから」


だって、皓様は俺のことは何だって知ってる。それに引き替え、俺はこの人のことを何も知らないんだ。


俺はただ、この人が作った箱庭の中で、大切に育てられているだけだ‥。それが、少し悔しくて悲しい。

だけど、反発すれば更に束縛が強くなるのも、この人を不安にさせるのも、今はもう理解している。

それに、俺は‥。



「‥若いときの写真を、
さらに年若い恋人に見られるのは恥ずかしいものだ」


「‥恋人」


恥ずかしい響きに勝手に顔が熱くなる。


「恋人じゃ、駄目?
俺は君が好きだって言ったし、君は頷いた」


「‥はい」


そう、
俺はもう、今ではこの人が好きなんだ。
買われたことも、無理矢理家族と引き離されたことも、許してしまえるほど‥。

「好きとは、
言ってくれないんだね」



やっぱり苦味の強い笑みで、彼は笑った。
13
最初 前へ 10111213141516 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ