春夏秋冬 Ⅱ
春夏秋冬 Ⅱ
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:春夏秋冬

公開開始日:2012/05/27
最終更新日:2012/07/12 19:23

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春夏秋冬 Ⅱ 第1章 写真
彼の赤い顔が、次第に困った顔へと変わる。

あの人は皓様の恋人で、このアルバムに入っている皓様の写真は、その恋人が撮ったものだ。

だとしたら、変わらず恋人の手元にあったほうが、皓様の気持ちは穏やかだったのかもしれない。

貰ってきては、駄目だったんだ‥。


だけど俺は、この写真をほしいと思った。あの人がこのアルバムを持っているのは嫌だった。


だけど、皓様は俺が写真を持っているのは嫌なんだ‥。



「‥‥‥ごめんなさい。
勝手なこと言って」


胸が、ひどく重い。
なんでこんなに気持ちが沈むんだろう。


「いや‥、怒ってるわけじゃないんだ。
だけど、こんな写真、まだ残ってると思わなかったから、驚いた」


皓様は俺から取り上げたアルバムを苦々しく見つめて、ため息を吐いた。


だけど、写真の中の皓様は綺麗に写ってるし、持っていたのは恋人だ。
なんで残ってないなんて思うんだろう。


「どうして、写真が残ってないって思ってたんです?そのアルバムに入ってるのは綺麗な写真ばかりなのに」


強烈に衝撃的な写真も結構あったけど‥。



「弥生様、何か言っていた?」


「付き合っていたって。恋人、なのでしょう」


皓様は苦笑して首を振る。
顔に浮かぶのは、少し苦みの強い笑みで、困ったような顔だった。

皓様は俺の手を握ると、帰り道を歩き始めた。



「恋人、か。
だけど、俺はあの頃、弥生様に吊り合うには子ども過ぎたし、あまりに世間知らずだった。

それさえ今となっては過去だ。
8年も前に別れたよ。その時に写真は2人で処分したんだ。殆どね。

昔のことだし、お互い好いてはいても、さして真面目な付き合いではなかった。

だからまさか、これが残ってるとは思わなかった」



なんで、別れたんだろう。
別れたと言いながら、2人の仲は今だって悪くなさそうだった。それどころか、2人とも懐かしい姿に目を細めて微笑んでいた。



「‥この写真は、残したんですね」



それは、2人に未練があったからなんじゃないのか。
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