春夏秋冬 Ⅱ
第1章 写真
弥生様とつき合っていた頃、ベッドで写真を撮ったことがあった。それは現像した後は、ねがを焼いてしまった写真だ。
そして、別れる時に2人で写った写真はすべて焼いてしまった、お互いのために。
だからまさか、8年も建ってからそれが出てくるとは思わなかった。
「‥皓様?」
隣で光が訝しげに首を傾げて、突如動きを止めた俺をのぞき込んだ。
だが、俺はまさに今自分の目の前にある光景が信じられなかった。
「陛、下‥?」
王都に君臨するはずの陛下が何故、今、俺の前でくつろいでおられるのだろうか‥。
俺は光と遊びたい一心で仕事を無理やり片付け、一泊二日でこの避暑地に遊びに来ていた。
付き添いは潔だけの、完全なプライベート旅行だった。
なのに何故か目の前に、陛下がいた…。
「やあ、
誰かと思えば月白のご当主じゃないか、久しいな。
私は休暇だよ。
ごく個人的に、ここに別荘を持っていてね。まさか君に出くわすとは思わなかったな」
‥目の前の方は八年前に別れた時のままだった。
恋しく憧れたあの頃のままだった。
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