SITIGMA Side-Koichi Vol.1
SITIGMA Side-Koichi Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/05/10
最終更新日:---

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SITIGMA Side-Koichi Vol.1 第3章 2-1
 おくさんは死んで、おじさんはこの部屋でずっと一人ぐらし。一人ぐらしっていいなって、ちょっと思った。自分の好きな本を買って、パソコンやゲームも買って、だれにも気をつかわないでいいから、って。でもよく考えたら、お金は自分でかせがなきゃいけないし、ごはん作るのも食べるのも一人、そうじも洗たくもしなきゃいけない。「おじさんさびしいな」っておじさんは言った。そんな気もちになる時もあるかもしれない。お仕事も一人で、家でするのが多いみたいだし。おじさんはぼくと似た所があるのかもしれない、って、ちょっと思って、すぐ全ぜん違うって、思い直した。人なみはずれてかしこくて、勉強もたくさんして、人を教えたり本を書いたり、自分の力でお金をたくさんかせいで、きっとたくさんの人に、注目されてそんけいされている。とうめいなわけがない。でも……もしかしたらぼくの気もちを、ちょっとだけでも、わかってくれる人なのかもしれないって、思った。そんなきたいをした。生まれて初めてだった。でもぼくは、本当の自分がおじさんにわかってしまうのは、やっぱりこわかった。おじさんは、ぼくのことをわざわざ気にして、ぼくをとうめいでいられなくした。ぼくをきらいじゃないのは、たしかだった。そしてぼくはちょっときたいをしてしまったから、おじさんにぼくのことを全部知られて、きらいになられたらとてもつらいな、って、それがとてもこわいなって、とうめいでいられた時には感じなかった気もちで、苦しくなった。

 できあがったチャーハンとおみそ汁を、こたつにすわって二人で食べた。とてもおいしかった。熱いごはんとおみそ汁。給食とか、牛丼屋さんとか、冷凍食品とかとは全ぜん違う。おじさんとぼくとで、二人のためだけに作ったものだからだと思う。ぼくはおいしいって口に出さないと失礼だってわかっていながら、やっぱりおじさんに、「どう、味は?」ってきかれるまでは、何も言えなかった。ぼくはでも、「すごくおいしい!」って元気よく言えた。「よかった。幸一いい顔になってるよ」とおじさんは笑顔になって、またぼくの頭をなでてくれた。ぼくはそうされるのをきたいしていた。
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