SITIGMA Side-Koichi Vol.1
SITIGMA Side-Koichi Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/05/10
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
SITIGMA Side-Koichi Vol.1 第3章 2-1
「おじさん、お仕事だったらぼく……」
「いいからいいから。すぐ終わるよ。いつでもいい仕事だけど、キリが悪いだけなんだ」
 立ち上がろうとするぼくの肩を、おじさんはけっこう強く押して、ぼくをすわらせた。それからパソコンに向かって、ぼくに背中を向けた。ぼくは迷ったけど、これで帰ったらおじさん、おこっちゃいそうに思えたし、ぼくも本当は帰りたくなかったんだ。ゲームじゃ音が出ちゃうし、せめてしずかに、マンガを読んでまとう、と思った。
 ぼくはもくもくとマンガを読み進めて、おじさんも時どき、ま違った、とか一人言言うだけで、ずっとパソコンに向かっていた。三十分ぐらいして、「よし!」とおじさんがひざをたたいて立ち上がった。ぼくは読みかけのマンガをふせて、おじさんの方を見上げた。
「幸一、今日のお昼ごはんは? もうお母さん、作ってるかな?」
 ぼくは首をふった。お母さんは料理をしない。少なくとも、ぼくのためには、作ってくれたことはない。今日のお昼ごはんは、五百円玉だ。
「あれれ、お母さんはお出かけかな? じゃあお昼、どうするつもりだったんだい?」
 ぼくは返事に困った。細かい事情は言えないし……。
「今日はどこかで、お弁当買って、食べようかな、って……」
 うまくしゃべれない。ぼくはうつ向いてしまう。
「じゃ、うちで食べればいい」
 ぼくは「えっ」と声に出して、顔上げておじさんの顔を見つめてしまう。
「作るのは手伝ってもらうよ。だから気をつかわなくていい。そんないいもんじゃないしね」
 おじさんはにっこり笑ってそう言った。ぼくはまたうつ向いた。
「料理って、ぼく、できないから……」
「料理ってほどのもんじゃないよ。冷ぞう庫にのこってる野さいと焼きぶたとごはんで、チャーハンかな。あとは昨日ののこりのみそ汁。おじさんの言う通り手伝ってくれればいいだけだよ、まず手、洗おうか」
15
最初 前へ 12131415161718 次へ 最後
ページへ 
NIGHT LOUNGE5060
TOP