SITIGMA Side-Koichi Vol.1
SITIGMA Side-Koichi Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:STIGMA

公開開始日:2012/05/10
最終更新日:---

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SITIGMA Side-Koichi Vol.1 第2章 1
「本はちょっとおいておこうか。何かのむ? ジュースは今、りんごジュースとコーラだな。あったかいのがよければ、紅茶いれるか」
 ぼくはまた、返事できなかった。
「おじさんは紅茶にしよう。幸一は紅茶きらい?」
 ぼくは首をふった。本当はコーラがのみたいな、ってちょっと思ったけど、言えなかった。
「正直に言いなさい。幸一はせっかくのお客さんだよ。おじさんは幸一によろこんでほしいんだから」
 いつの間にかおじさんは、ぼくを呼びすてにしている。でも、いやじゃなかった。呼びすてになったからって、おじさんの上品そうな感じは、あまり変わらなかった。ぼくは、
「……コーラ」
 と言った。おじさんはまた、ぼくの頭をなでた。強くなでた。
 こたつ(もちろん今は春だからふとんはかかっていない)にすわって、コーラをおいてもらって、ぼくは紅茶をいれるおじさんをまった。あたたかい紅茶をもってぼくのななめよこにすわったおじさんは、「幸一は礼ぎ正しいなあ。のんでてよかったのに」と笑顔で言って、かんぱいみたいに紅茶のカップをさし出したので、ぼくもコーラのグラスをもち上げた。その時ぼくは笑顔になったと思う。作った笑顔じゃなく、本当の笑顔に。

「まだ時間あるよね? ゲームする? おじさんゲームもするんだ。子どもみたいだろ? 二人プレイできるやつ、何かやろう。好きなゲームとか、ある?」
 ぼくのうちにはゲーム機はない。買ってって言えば、きっといやな顔をしながらも買ってくれると思うけど、言えないし、言いたくもないし、あの家でゲームなんかしたくない。友だちの話に、てき当にでもまじるのに、時時、ゲームのざっしは立ち読みするけど、実は一回もやったことがなかった。友だちのうちにも、みんなだれかの家には遊びに行っているんだろうと思っているけど、実はどこにも行っていないのが、ぼくだから、やらせてもらえる機会も、なかった。すごくやりたかったし、今ぼくはすなおに、その気もちを言葉にすることができた。
 ざっしだけで知っているゲームの名前を言った。おじさんは笑顔でうなずいて、ゲーム機と、ソフトがいっぱい入った箱を取り出すと、ぼくにも手伝わせて、プラグやコードをセットした。
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