僕と彼女のビート
僕と彼女のビート

発行者:美心(mishin)
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/04/24
最終更新日:2012/09/16 23:29

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僕と彼女のビート 第5章 僕の喪失、彼女の心
「みんなあなたのこと一目置いてるわよ」

「なぜ」

僕は火種をテーブルに落としそうになっていたらしく、ジェニーが指先で僕の前に灰皿を押した。



「あなたは何か夢がある?」

ジェニーは僕の質問には答えず、婀娜(あだ)っぽい目つきで僕に聞いてきた。

「夢…」

いかにもアメリカン・グラフィティに出てきそうなスタイルをきめたウエイトレスが水を運んできたから、僕はそこで口をつぐんだ。


「何がしたいとか、あるの?」


ウエイトレスが去ってから、ジェニーはもう一度僕に問い直した。


普段ジェニーが僕にこんな風な質問をすることは滅多にない。

だからなんだか不思議な感じがした。

バーのソファーで彼女の隣にぴったりと座っていても

一緒に曲を口ずさんでも

同じ酒を回し飲みしても

ジェニーと僕の心には心地が悪いのとは違う、なにか独特の距離があった。


今までどぎまぎしたり、酔っ払うばかりで考えないままできたけれど。

むしろ、怖くて考えたくなかったんだろう。



僕は正直に話してみることにした。
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