僕と彼女のビート
第4章 彼女と僕の再会の日
僕はマーシーを自分の部屋に案内した。
マーシーはあからさまに驚いて言葉をなくしていた。
なにしろ僕の部屋は、中学校時代のどの友達も想像がつかないと思われる程にひどいものだったから。
部屋の奥にはベッド、その上には穴のあいたブランケット。
中央には誰かが拾ってきた大きな灰皿にあきれるほどの吸い殻。
そしておびただしい量の酒の空きビン。
なんとか動くが、スピーカーが片方壊れてしまったレコードプレイヤーに、誰かが置いていったキンクスのレコード。
(ビートルズとディランのCDは持っているけれど、CDプレイヤーはないので聴くことができない)
あとは中学生のころに手に入れた新訳聖書。
アパート自体もずいぶん古いもんだから、なんだか部屋にある全てのものにカビ臭さを感じてしまう。
「ずいぶん古いアパートメントなのね。
…なんだか、君は今までと何もかも違うわ」
マーシーは部屋をざっと見渡すと、感想を言った。
「変わっちまったかな、いろいろ」
僕はマーシーの手を引いてベッドに座らせた。
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