僕と彼女のビート
僕と彼女のビート

発行者:美心(mishin)
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/04/24
最終更新日:2012/09/16 23:29

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僕と彼女のビート 第3章 新しい生活のなかで
16になる前に僕はこっそりとお酒を飲むことを覚えた。

それに煙草も。



僕の職場の人間は、僕の歳に不思議な程関心を持っていないようだった。

だから職場の前にある小さなスタンド灰皿の横で煙草をくわえていても、何も咎められなかったのだ。


僕の務めるのは小さな印刷所で、隣はよく分からない事務所だった。


朝、灰皿の前で煙草を吸っているとその事務所の連中もよく煙草をくわえて集まってくる。


何度も顔を合わせるようになった奴の煙草の銘柄を僕はそっと盗み見る。


ポマードの匂いのするロカビリー好きの先輩と所長はマルボロ。


白でやせっぽちの事務の女の子はハイライトだ。

年季の入ったパンクスの先輩はGPS。


僕と同じラッキーストライクを吸っている、隣の事務所の栗色のボブヘアの女。


彼女は僕を見つけると必ず微笑んでくる。



言葉を交わすことはないだろうと思っていたけれど、彼女は僕が出勤するタイミングを見計らっているかのようにいつもそこにいる。



火貸してくれるかな?

君もラッキーなんだ、同じね

今日も忙しくなりそうなの?

帰りが一緒だったらご飯食べましょうよ



僕は夏がやってくる少し前、その女と仕事帰りに食事に行くことになった。
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