僕と彼女のビート
第1章 僕たちの出会った日
僕はすっかり眠りの中に落ちているマーシーの髪の毛をかきあげ、マーシーのくちびるを探しだして、くちづけてみた。
マーシーは起きなかった。
僕の心臓の鼓動はマーシーと刻んでいた拍を抜け出して、ひとり重い音を素早く響かせ始めた。
朝は長い長い時間のあとに、あっという間にやってきた。
僕の予想通りだ。
こうして夏休みも、残りの学校で過ごす日々も、あっという間に過ぎていくのだ。
どんなに、退屈で重苦しく永遠に続くと思われる日々でも、気づけばそれは不確かな過去のものに変わっていくのだ。
考えこみすぎる僕の頭の中を見たら、バスケット部の連中は笑うだろうな。
マーシーは僕の話を聞いてくれるだろう。
黙って話を聞いたあとは、なにか柔らかくて軽やかな言葉で返してくれるだろう。
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