僕と彼女のビート
第1章 僕たちの出会った日
非常階段は冷気を含んだコンクリートの壁で思ったよりも体が冷えた。
僕たちは体を強く寄せあった。
今までにこんなにもマーシーにくっついて座ったことがあっただろうか。
僕たちはもう何も話さなかった。
今思えば、この時の僕はすべての退屈や憂鬱をすっかり忘れていた。
自分の心臓の大きすぎる鼓動の音と、マーシーの鼓動の音がだんだん同じリズムになっていくのを感じていた。
マーシーは僕の体に自分の体重を預けて、目をつぶっていた。
僕は左手をマーシーの背中に回し、右手でマーシーのおでこを触り、鼻筋をなぞった。
マーシーのまつげが少し動いた。
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