☆わんだらいふ(小説家編)
第5章 家にはこっそり帰って部屋に戻りたいんだけど……出来るかな
「付き合ってられないね」康成は一人熱唱する波多野を無視して歩き出した。そんなにいいのだろうか? 女に囲まれた生活が。それはそれで苦労するというのに、何も分かっちゃいない。
我が家に向かって歩く康成は、こっそり家に入ってそのまま自分の部屋に戻れるかどうかが心配。掴まると神経が消耗するから。
女というのは少し傲慢な生き物。家族に4人も女がいればそう思う。愛さずにいられない傲慢な生き物、男はどうして女に胸を鷲掴みにされるのだろう。
康成は歩きながら考えてみた。なぜに人には性別があるのだろうかと。性別がなければ、人間は悩みなど持たなかったかもしれない。きっと冷静に落ち着いて生活が出来ただろうにと。
「やってる……爆音だ」
我が家の前に立ってため息。
自宅である豪邸は防音完備だというのに外まで聞こえる。一体どれほど爆音を出せば気が済むのか。姉の美香はよく難聴にならないなと感心する弟。
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