コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第8章 雄々しき貴婦人
役人たちは、かなり気圧された様子になっていた。

だが、簡単に引き下がるわけにはいかぬとばかり、それでも相当頑張って虚勢を張っているというのがわかったが、なんとか言い返してきた。

「なんだ、お前は…!!
余計な口出しをすると、お前も一緒にしょっぴくぞ!」

しかし、その声には既に自信の無さが滲みはじめている。



美しい女性は、目を細めながら冷ややかに役人を一瞥した。

「どのような事情があれ、そのように若い娘を傷つけ、幼い子どもを脅すなど、許されることではない。
増してや、その娘のことも、何か証拠がおありなのですか?
いい加減なことで逮捕などしようものなら、あなた方の罪も問われますよ」

彼女は自国語を愛しむように、毅然と澱みないケチュア語で語ると、コイユールの手首を掴んでいる男の方に近づいてきた。

何気ない動きの一つ一つさえ、優美である。


そして、「お放しなさい!」と、最後通告を突きつけるかのごとくの気迫で、氷のように睨みつけた。
男の手が、力を吸い取られたかのように、コイユールの手首からはずれる。



役人は怯えを必死で隠しながら、その美女を憎々し気に見やった。

「おまえ、何者だ…」


女性は、刃のごとく冷徹な眼光で役人を見下ろした。

「私は、ミカエラ・バスティーダス。
この地のカシーケ(領主)、トゥパク・アマルの妻です」




役人たちは、サッと顔を青くした。

そして、そそくさとその場を離れながら、それでも「次は、これで済むと思うなよ!」と捨てゼリフを吐き、急ぎ足で消えていった。




だが、驚いたのは男たちだけではなかった。
コイユールもその場に固まっていた。

(トゥパク・アマル様の、奥様…?!)
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