コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第8章 雄々しき貴婦人
それは、凛と響く女性の声だった。


役人たちはコイユールに掴みかかったまま、背後を振り向いた。
コイユールも、ハッとして前方を見る。


そこには、一人のインカ族の女性が、男たちを射竦めるような厳しい眼差しで立っていた。

コイユールは、思わず目を見張る。



その険しい表情にもかかわらず、まるで絵画の中から抜け出してきたかのような、この世の人とは思えぬほどの麗しい女性がそこにいたのだ。

男性を凌ぐほどのすらりとした美しい長身に、ほっそりとした、それでいて、しなやかな手足。
首は見たこともないほど細く、その上には、とうていインカ族とは思えぬ洗練された美貌があった。




高貴で繊細な目鼻立ち、それでいて、その眼差しには毅然とした強さと、凛々しさが漲っていた。
いかなる悪行も許さない、そんな強い正義心と信念に貫かれた怜悧な瞳の色である。

とても女性的でありながら、一方で、非常に男性的な印象をも与える。


髪は流れるように艶やかな黒髪で、それを背後に長く垂らし、一つにまとめて結んでいる。
その耳元には、インカ風の華やかな黄金のイヤリングが輝いていた。


そして、質の良い布地で仕立てられた、ただし、決して華美ではない西洋風の上品なロングドレスをまとっている。
年の頃は、20代半ばぐらいだろうか。


褐色の肌も青銅色に輝くようで、そのあまりに美麗で凛然たる姿は、まるで神話の中の戦さの女神がこの世に甦ったかのようだった。



さすがのスペイン役人たちも、そのインカ族の女性の気高い美しさに目を奪われて、しばし言葉も無く息を呑んでいた。


一方、女性は、男たちを見下ろすがごとくに、その麗しい目元をそびやかせ、厳然たる口調で言い放つ。

「その娘さんをお放しなさい」


一つ一つの言葉に、力と魂が宿っているかのように、きっぱりとよく響く。
90
最初 前へ 87888990919293 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ