コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第8章 雄々しき貴婦人
(この男の子、どこかで見たことあるような)

ふとそんな気がしたが、それよりも、とにかく手当てをしないといけない。



コイユールは急いで懐からハンカチを取り出して、少年に「ちょっとだけ、ね、触ってもいい?」と、相手の目の高さから優しく問いかけた。

少年は泣くのをこらえてはいるものの、涙を潤ませた瞳で、少し驚いたようにコイユールを見た。
が、彼女の眼差しに安堵したのか、小さくコクンと頷いた。


コイユールは少年に微笑みかけて、そっと傷口付近の血を拭きとっていく。
こういう時は薬草などがあると役立つのだが、普段の施術時も薬を使わない彼女は薬草を持ち合わせていなかった。


コイユールは心配そうに少年を見た。

「痛い…よね?」

少年はまだびっくりした表情をしたまま、無言で真っ直ぐ彼女の方を見ている。

「がまんできて、えらいね。
強いんだね」

コイユールが笑いかけると、少年の瞳には、かえって涙がふくれあがってきた。



少年が痛みを相当我慢していると見てとると、コイユールは彼の傷口の血が止まってきたのを確認して、もう一度笑顔を向ける。

「痛いのがとれる魔法をかけてあげてもいい?」

「まほう?」

少年がはじめて口をきいた。

まだ幼い舌足らずのあどけない話し方だったが、少年の瞳には好奇心の色が浮び上がった。
そして、「うん、やって!」と明るい笑顔を見せた。


コイユールは少年に笑顔が戻ったことに安堵しながら、同時に、感心して言った。

「まほうって、でも、それって、ちょっとも怖くないの?」

「僕、怖いものなんて、ないもの!」

少年は輝くような自信のある瞳で、きっぱりと答える。
コイユールはそんな彼の様子に、やはりどこかで見たような、と感じながらも思い出すことができなかった。
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