コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
神学校の卒業年度が次第に迫り、いよいよ学業も大詰めになってきた彼は、この1年間、寄宿舎で過ごしたまま、この故郷に戻ってくることができなかった。

ほぼ1年ぶりの再会に、アンドレスもコイユールも、密かに胸を躍らせていた。


「コイユール、マルセラ、二人とも元気そうで良かった」

「アンドレスも」

二人は、しっかりとその瞳で頷き合う。


本当に、この時代、何が起こってもおかしくなかった。
生きて再び会えたこと、その喜び、そのかけがえのなさ――それは、決して大袈裟なものではなかったのだ。



それから、コイユールは自分の後ろに身を隠しているマルセラを見た。

「アンドレスがいない間、マルセラがとっても良くしてくれたの。
マルセラはいろんなことを教えてくれたわ。
ほら、アンドレスが以前くれたスペイン語の教科書も、マルセラが解説してくれたし、他にもいろいろ…!
それで、今は、私もスペイン語、少しわかるようになってきたのよ」

「それはすごい!
マルセラもありがとう」

優しく微笑みかけるアンドレスに、マルセラはいよいよ顔から火を吹き上げている。




コイユールはそんな彼女をいっそう微笑ましく思いながらも、自分の心の奥にも、不思議で、切なく、甘美な、今まで感じたことのなかったような何かの感情が存在するのを微かに感じた。

これは、一体、何だろう……?


まだ、この時の彼女には、それが何かは全くわからなかったのだけれど――。

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