コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
マルセラは基本的に人を差別しないし、身分がどうのとか言う人間ではないことを知っていた。

そもそも竹を割ったような性格のマルセラは、誰に対しても意地悪なことを言ったりすることのないことも知っていた。

そんな彼女の言葉だけに、妙にコイユールの胸に突き刺さってきた。
そして、実際、マルセラの言う通りのようにも思えてくる。


「それじゃ、なんて呼べばいいのかしら…」

少し肩を落として、コイユールは自分の心にも問いかけるように呟いた。

「そんなの、『アンドレス様』に決まってるじゃないさ!!」

相変わらずムキになってマルセラが言い放つ。

「アンドレス…さま…?」

そう小さく言ってみてから、「う~ん」と、複雑な顔になる。

「やっぱり、なんだか違和感が……」


コイユールが呟くと、マルセラが怖い顔をして、さらにコイユールに詰め寄った。

「あ、それって、すご~っく失礼じゃないの?!
じゃあ、なにさ、トゥパク・アマル様のことも、あんた、呼び捨てにできるの?!」

「ま、まさか!!」


コイユールが目を見開いて大きくかぶりを振る様子に、マルセラは一本取ったとばかりに大きく胸を反らした。

「ほうらね!!
あんたがアンドレス様を呼び捨てにするのは、トゥパク・アマル様を呼び捨てにするのとおんなじくらい、だいそれたことなんだから!!
いい?!
これからは、アンドレス様はアンドレス様だからねっ!!」




そのマルセラの剣幕は、トゥパク・アマルらのいる広間の方までしっかりと響いていた。
マルセラの叔父でもあるビルカパサは、苦虫を噛み潰したような顔になる。

トゥパク・アマルも、真面目な話をふと止めて、炊事場の方に顔を向けた。

「なにやら、もめているようだが」

「すいません、うちの姪っ子が…」

ビルカパサは眉間に皺を寄せて、立ち上がりかけた。


それを制するように、アンドレスが立ち上がる。

「ビルカパサ殿、どうぞそのまま」


そう言って笑顔を返し、彼は炊事場へと向かった。
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