コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
トゥパク・アマルたちが反乱準備を秘密裏に進めはじめてから、はや3年の月日が流れていた。

その間、自分の領地を治めながらも、彼は国中を旅し、息つく暇もないほど忙しく活動してきた。




そんな彼も、今宵は久しぶりに故郷の地で、心許せる同志たちと共にひとときの穏やかな時間を過ごしていた。

とはいえ、そうした場でも話題といえば、やはりこの国の将来のこと、及び、今後の行動につてであったが。



トゥパク・アマルは、かつてコイユールが彼と出会ったあのアンドレスの館で、あの時と同じように広間の中央に座し、その周りにはアンドレスの叔父ディエゴ、腹心のビルカパサ、やや神経質そうなフランシスコたちがいた。


ただ、あの時の初老のインカ族の紳士、ブラスの姿はなかった。
3年程前、ブラスはスペイン国王への直訴の海路で、スペイン側の役人の手の者により暗殺されてしまっていたのだった。




そして、今、ブラスのかわりに、アンドレスがトゥパク・アマルらと同じテーブルについていた。


あのまだ少年だったアンドレスも、今は15歳の青年に成長していた。
この3間で、彼はすっかり凛々しい若者になっていた。

叔父である大男ディエゴほどではないが、彼に似て長身で、インカ族とスペイン人との混血児である彼はもともと美男子ではあったが、成長と共に男性的な精悍さも増し、今では、どこかトゥパク・アマルに似た雰囲気をもまとうようになっていた。


二人は血縁関係にあるためそれも不思議なことではないのだが、それだけでは説明しがたいもの――その身に宿る魂が似ているような、そうした雰囲気を醸し出していた。

だが、トゥパク・アマルには深い影があったが、アンドレスには湧き立つような華やかさ、光、のようなものがあった。
同じ魂の結晶のそれぞれの側面が顕れているような、そんな表現が適切だろうか。



もちろん、15歳の彼は、まだ少年のような面影も残してはいたのだが。

彼は今も神学校に在籍しており、今日も、3年前のあの日と同じように、長期休暇のために帰省していたのだった。
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