コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
「さあ、さあ」と、モスコーソはトゥパク・アマルをソファに座るよう促した。

「今日は、余に話があってきたのであろう」


トゥパク・アマルは「はい」と答えながらも、その瞬間に、頭の中でこの後の対応をめまぐるしく考えていた。

さすがの彼も、このモスコーソという司祭の人物を読みかねていた。
不自然なほどに懐柔なその態度の裏側に、どす黒い腹の内があるようにも思われた。

それはトゥパク・アマルの直観だったが、少なくとも警戒に値する。


彼が言葉を選んでいる間も、モスコーソは異様なほど唇の端を吊り上げて微笑みながら、その細めた目の奥からこちらをじっと観察している。



トゥパク・アマルは「では、畏れながら申し上げます」と目で礼を払い、やや動揺している内面を悟られぬよう、慎重に声色をも統制しながら言う。

「この国のインカ族の者たち、混血の者たち、黒人たち、そして、この国生まれのスペイン人たちが置かれている窮状を司祭様はご存知でしょうか。

二重課税の問題、鉱山や織物工場での強制労働や虐待、関税の問題、強制配給など、いずれの面におきましても、恐らく、副王様や司祭様の御意図を超えた尋常ではない過酷な事態が永年続いているのです」


そう話しつつ、今度はトゥパク・アマルの方が、あからさまにならぬよう、しかし相手の反応を探るように司祭を見た。
こうした非道な暴政の実態を、司祭は知っての上なのか、否なのか。



彼の視線を受けて、モスコーソは瞬間的にカッと再び目を見開いた。


トゥパク・アマルの背筋に悪寒が走る。
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