コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
やはり、中には既にモスコーソ司祭が待っていた。

全体に赤い絨毯が敷き詰められた室内は、宮殿内のような華やかな壁紙に飾られ、堂々たる、しかも優美な西洋家具が至るところに配置されている。



司祭は部屋の中央の臙脂色がかった豪華なソファに身を沈めていたが、トゥパク・アマルが姿を見せると「おお!」と目を細めて立ち上がり、まるで走り寄るかのごとくにトゥパク・アマルの前までやってきた。


「そなたがトゥパク・アマル殿か。
よくお越しくだされた」

そう言ってキュッと目を細める。

そうしながら、細めた瞼の向こうから、舐めるようにトゥパク・アマルの全身を覗き見た。


トゥパク・アマルの中に、えもいわれぬおぞましい感覚が瞬間的に走った。
が、彼は丁寧に司祭の前に腰を落として跪(ひざまず)き、深く礼を払う。

「遅くなりまして、申し訳ございませぬ。
ティンタ郡のカシーケ、トゥパク・アマルでございます。
本日は、お目通りをお許しいただき、身に余る光栄に存じます」



「なにを、なにを」と、モスコーソは跪いているトゥパク・アマルの腕を取り、抱き起こすようにして立たせた。

「よく来てくれた。会いたかったのは余の方じゃ」と、いっそう目を細める。

そして、「そちは、かのインカ皇帝の直系の子孫なのだそうだな」と、低い声で探るように言った。


トゥパク・アマルは、その司祭の目が急にカッと見開いて、またキュッと細まるのを見た。


ほとんど瞳の見えない司祭の目は、瞼の奥で常に探るように怪しく光っている。
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