コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
実際、このモスコーソは、この植民地におけるカトリック教会の頂点に立つ、最高位の司祭であった。

しかも、単に宗教的な意味合いで高位に君臨する人物というだけでなく、この時代、司祭という存在は、国の統治においても絶大な発言力を有する政治的権力者でもあったのだ。



このモスコーソ司祭は、50代にさしかかった威厳ある風貌の持ち主で、年齢のためにやや横幅の広くなったその体格も、かえって彼の貫禄を高めていた。

キリスト者らしい厳かさを漂わせながらも、わざわざ慈愛深気に細めた目はかえって不気味な色味を発し、奇態な雰囲気を周囲に放っている。


この植民地に赴任して既に長い年月の経つアレッチェでさえ、未だにこの最高位の司祭の実像をつかみかねていた。


「わざわざ、あのようなインディオにお会いにならずともよろしいのでは」

アレッチェは、その真意をうかがうように司祭を見やった。


他方、モスコーソは不自然なほどに目を細めたまま、唇の両端を軽く吊り上げる。

「子羊が会いたいとわざわざ申しておるのだ。
牧者として、その申し出を断る道理はあるまい」

そして、一瞬、カッと目を見開いた。

「道理を通しておいた方が、有利よのう」


その眼光の不気味さに、さすがのアレッチェも背筋に悪寒を覚えた。





その頃、トゥパク・アマルは、モスコーソ司祭との目通りのために丁寧に運んできた衣装の荷をほどき、面会の準備を整えていた。


そして、今回の目通りを申し出たその目的を、頭の中で反芻する。

まず、かねてより思案していたこと、つまり、この国で虐げられている民衆にとって、真の仇は誰なのか、それを見極めることだった。
最高位の司祭との面会は、その答えを探る手がかりを与えてくれるだろう。

また、この国の民衆の精神的支柱となっているカトリックの教えを司る頂点に立つ司祭とは、果たしていかなる人物なのか、そのことも見定めておきたかった。
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