コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第7章 司祭
「トゥパク・アマル様、まもなく首府リマに到着いたします」


ビルカパサの声に、愛馬に揺られながら考えに耽っていたトゥパク・アマルはゆっくりと顔を上げた。


商隊が進んできた荒野の道も、次第に舗装が進んだ石畳の路面に変わってきている。
道を往く人々の行き交いも、徐々に賑わいを見せてきたようだ。

さすがに、この首府リマの周辺はスペイン人が多く、どこか人々の装いも華やかで、街全体の風情も西洋風なおもむきが濃厚である。




そのようなスペイン的気風の中でも、トゥパク・アマルら商隊の一行は、その威風堂々たる格調高い輝きによって、路往く人々の目をひときわ惹きつけた。


荷を積む10台あまりの堅固な貨車には、インカの象徴である太陽の文様が彫り上げられ、風格がありながらも鮮烈な色彩が施されている。

100頭あまりの荷を運ぶ頑強そうなラバの艶やかな肢体は陽光を照り返して輝き、それらを守るように進む50人ほどの商隊員たちは、正確にはトゥパク・アマルの選りすぐりの護衛官たちだが、毅然と胸を張って悄然と歩み、非常に統制がとれていた。



そして、商隊員たちに堅固に守られるようにして、その中央には、愛馬にまたがり凛然として進むトゥパク・アマルの姿があった。

彼の横では、ビルカパサが逞しいラバの背の上で、いかなる事態にも瞬時に反応できる体勢で身構えている。
ちなみに、この時代、騎馬を許されていたのは、白人以外ではカシーケ(領主)レベルの者だけだった。





トゥパク・アマルは、これから会おうとしているある重要人物のことに思いを馳せながら、その研ぎ澄まされた鋭利な横顔を前方へと向けた。

彼が優雅な物腰で白馬の手綱を繰る度、漆黒のビロードのマントが夕刻時の風の中にゆるやかに大きく翻る。


暮れかけてきた朱色の空を背景にして、まるで凱旋さながらに前進する、凛々しくも妖艶なまでに強いオーラを放つその「インディオ」の姿に、往来のスペイン人たちは気圧された眼差しで遠巻きにし、あるいは、無意識のうちに道を開けていた。
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