コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第6章 同盟者
アパサの言葉に、トゥパク・アマルは深く頷いた。

そして、この一見虚勢を張っている男の胸の内に、熱い正義心と、真理を見抜く鋭い洞察力を見て取った。


その思いを込めて、彼は噛み締めるようにアパサに言う。

「だからこそ、そなたの力が必要なのだ。
この国で苦境にある者たちが、種族を超えて心を合わせるために」

それはトゥパク・アマルの真実の思いであった。



それから、やや自分より低いアパサの目線に合わせるように少し身を沈めるような格好で、真正面から眼前の男を見据えた。
その切れ長の目元に、熱を帯びた光を宿しながら。

「アパサ殿。
そなたに、わたしの指図を受けさせようなどという気は、もとより持ってはいない。
そなたは、そなたの思うようにすればよかろう。

――ただ、いずれそなたも事を起こすつもりであるならば、共に時を合わせた方が効果的であろうと思うまでだ」


アパサは微妙に目元をぴくつかせながら、「うまいことを言っても、結局は、おまえが音頭(おんど)取りをするのだろうが」と、相変わらず憎々しげに言う。



だが、その後、不意に少々面白そうに笑った。

「トゥパク・アマル。
おまえも因果な奴だ。
余計なことなぞ考えなければ、一生、何の苦労もなく、安穏と豪遊できるだけの地位も金もあるくせに」

「それは、アパサ殿、そなたも同じであろう」


そして、互いに顔を見合わせ、フッと笑って肩をすくめた。




アパサはチチャ酒を飲み干すと、トゥパク・アマルにも飲めと勧め、二人分の酒を改めてついできた。
そして、カップを掲げ、それをトゥパク・アマルの方へ軽く傾ける。

「おまえの今後の動き次第だが、まあ少しは心積もりをしておこう」

そして、相変わらず不遜な、しかし、熱い眼差しで笑った。


トゥパク・アマルも笑みを返し、自分のカップを相手の方へ掲げ、酒を飲み干した。





二人分の三杯目のチチャ酒をつぎに立って戻ってきたアパサからカップを受け取りながら、トゥパク・アマルは今までとは少々おもむきの異なる笑顔をつくって言う。

「どうだろうか、アパサ殿。
わたしの甥をそなたの元にあずけることは、かなわぬだろうか」
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