コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第6章 同盟者
「あんたったら、なんてことを!!」


部下たちに肩を抱かれ、足を引きずりながら屋敷に戻ってきた夫に、アパサの妻バルトリーナは金切り声を上げた。
そして、夫を鬼のような形相で睨みつける。

さすがのアパサも妻の剣幕に気圧されて、足の痛みも忘れたように館の奥に逃げ込んでしまった。





アパサの妻は、すっかり日も落ちた頃、やっと夫と共に屋敷に到着したトゥパク・アマルらの商隊の方にすっ飛んで行った。
それから、商隊員の誰かれかまわず、ほとんど泣きそうな顔で頭を下げて回りはじめた。


「すいませんねえ。
本当に、うちのあの人が、またとんでもないことをしちまって。
本当に、もう、なんとお詫びしたらいいものか…!
ああ~~、なんてことだろう。
皇帝様に、こんなことしちゃって……!!」

そして、頭を抱えて、しまいには地面にひれ伏すようにうずくまってしまった。


やや大袈裟にも見えかねない態度だったが、その様子には本当に必死さがうかがえた。
とはいえ、先ほどの一件以来、常時は冷静なビルカパサも機嫌を損ねていて、アパサの妻の様子にも冷ややかな視線を投げている。



トゥパク・アマルはビルカパサの肩を軽く叩き、「気にするなと言っておあげ」と促した。


ビルカパサはちらりとトゥパク・アマルを見た。
その顔は、いつになく恨めしげな表情である。

「トゥパク・アマル様、先ほどのようなこと、もうニ度となさらないでください。
あのような挑発に乗っていては、お命が幾つあっても足りませぬ。
あなた様に何かあったら…」

ビルカパサは厳しい目を向けた。


トゥパク・アマルは頷き、「あれは必要なことだったのだよ。だが、そなたの言葉もよく覚えておこう。さあ、行っておあげ」と、ビルカパサの背中を押した。
ビルカパサはトゥパク・アマルにもう一度視線を投げてから、地面に泣き崩れるようにうずくまっているアパサの妻、バルトリーナの方に向かう。



ビルカパサは、もう終わってしまったことだし、幸いトゥパク・アマル様も無事だから、と彼女に話し、それよりもトゥパク・アマル様を早く屋敷に通してほしいと伝えた。

バルトリーナは深い安堵の表情になり、本来は気丈な女性なのですぐに元気を取り戻し、改めてトゥパク・アマルに恭しく礼をして屋敷へと招き入れた。
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