コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第6章 同盟者
斧は、インカ族にとって、オンダと並ぶ代表的な武器の一つである。

アンデス一帯はその地形柄、山岳戦が多く、接近戦に有効な戦斧や棍棒の類が発達してきた。
戦斧は一般の斧よりも刃が鋭く、重く、片手で扱える代物ではない。


が、敵方の集団の中から一人の男が、戦斧を軽々と片手で握りながら一歩前に進み出た。

身長は中位で、筋骨隆々たる、20代半ばと見えるインカ族の男である。
服装はいかにも原住民的で頓着ない薄汚れた伝統的な貫頭衣を着ているが、その目は小さいながらも深く窪み、活動性と意志の強さが漲っていた。


一方で、その相貌には、復讐心に憑かれたような獰猛さがうかがえ、危険な野獣をも連想させる。



その男は不遜な態度で、トゥパク・アマルを見据えた。
そして、不気味に笑った。

「おまえが、トゥパク・アマルか」


トゥパク・アマルを呼び捨てにされたことで、再びビルカパサが肩をいからせ、身を乗り出した。
トゥパク・アマルは、今一度、ビルカパサを制し、「そうだ」と、やや目を細めながら応えた。


「俺は、フリアン・アパサ。
今夜の客人をお迎えにあがった」

そして、また不遜に笑う。


トゥパク・アマルも、やや冷ややかな眼差しに変わった。

「これはこれは、アパサ殿でしたか」


難しい相手だと予想はしていたがここまでとは、と内心苦笑する。



「トゥパク・アマル、おまえの腕が知りたい!
他の話はそれからだ」

アパサは単刀直入に言い放った。

それは、いきなりの戦斧での果し合いの申し入れであった。
しかも、アパサはインカ族の中でも名の知れた豪腕である。


さすがのトゥパク・アマルも不意をつかれた思いがしたが、断って事がすみそうな状況ではなかった。



「何を申されるか、アパサ殿、このお方は…!」

目を血走らせ、アパサの方に猛然と挑みかからんばかりのビルカパサをまた制して、トゥパク・アマルは戦斧をゆっくり構えた。
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