コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第6章 同盟者
今、トゥパク・アマルの眼前には、広大な美しい湖が広がっていた。


標高3800メートルという世界で最高所にある湖、ティティカカ湖である。
世界にも数少ない古代湖のひとつでもある。




湖には、葦でできたウロス島をはじめとして、太陽の島、月の島など41の大小の島々が点在し、かつて太陽の島には黄金で飾られた神殿がそびえ輝いていた。
言うまでも無く、それらの黄金はずいぶん昔に侵略者たちによって全て持ち去られていたのだが。




トゥパク・アマルは号令をかけ、商隊に休息を命じた。
空気の薄い高所を進んできたため、商隊員たちにも、ラバたちにも、十分な休息が必要だった。


彼は湖岸に降り立ち、午後の陽光に輝く紺碧の湖面を眺めた。

この湖には、インカ帝国の創始者マンコカパクが降り立ったという伝説が伝えられている。
確かに、広大な湖面に蒼い空が鏡のように映り、その様子は神秘と幻想に満ちている。


トゥパク・アマルは、その神秘的な美しさに心を奪われた。

空気が非常に澄んでいるため湖や空の碧さがいっそう増し、その自然美はとうてい言葉では言い尽くせぬものだった。
まるで湖に吸いこまれそうな錯覚にとらわれる。


高所にある湖面を吹き渡る風は身を切るように冷たかったが、彼にはむしろその冷たさが心地よかった。

長い黒髪が風の中に舞っている。



光を受け、風を切り、神秘の湖岸に立つその姿を、商隊員たちは、正確には商隊員を装った護衛官たちだが、息を詰めて見守った。
彼らの目に、そのトゥパク・アマルの姿は、インカ皇帝の降臨さながらに見えていたことであろう。




父祖発祥の地とされるその伝説の湖に心を奪われたようなトゥパク・アマルの傍に、いつもの側近ビルカパサがゆっくり近づいた。

「トゥパク・アマル様、そろそろ出立いたしましょう。
この辺りの道は、日が落ちると危険です」


トゥパク・アマルも我にかえって、同意した。
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