コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第5章 胎動
太陽は透明なオレンジ色の光を放ちつつ、徐々に速度を速め、天に向かって確実に昇りゆく。


それと共に、視界いっぱいに連なるコルディエラ山脈の山々が、まばゆい陽光と共鳴するかのように鮮烈な緋色の光を放ち、煌々と輝きはじめた。




まるで見渡す限りの山と空が、清冽な紅蓮の炎を上げながら燃え立っていくかのようだ。

その情景は、太陽が、山々が、尽きることない生命力を、この父祖の地に解き放っていくかのようだった。




トゥパク・アマルは心を奪われたように、その光景に見入っていた。


それから、彼は我にかえり、そして、大地を踏みしめる足の裏の感触を確かめた。
この大地、ここは古来からアンデスの神々とその民の息づく地。
そして、この大地も山脈も太陽も、確かに、今も、変わらずそこにあるではないか。


トゥパク・アマルは再び陽光に燃え立つ長大な山脈を見つめた。

彼は、今や完全に冷静さを取り戻した頭で考えた。
これまでの制圧者による無数の非道、それへの数知れぬ訴えと抗議行動、しかし、繰り返される非道、そして、挙句はブラスの暗殺。


(正攻法では、やはり現状は打開できぬのか…!)




この時、トゥパク・アマルの中に、一つの決意が生まれつつあった。


だが、流血をみる前にすべきことは全てしてからだ、とも考えていた。

事を起こすのは、その後だ。
最終手段を決行するとしても、十分な計画と準備が必要だ。



そして、その暁には、この地の民の中に眠れるインカの魂を再び呼び覚ますのだ――!


トゥパク・アマルは天空を見つめた。
そこには、天頂さして留まることなく昇りゆく、燦然と輝ける太陽の姿があった。
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