コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第1章 プロローグ
ところで、この物語を書き進めていくにあたり、スペインによるこの国の統治機構について、少々説明をしておく必要があろう。




16世紀の前半、スペインは植民地ペルー副王領を統治していくために、『インディアス枢機会議』という、植民地に関する司法・行政の最高府をリマに確立した。


これはスペイン王に直属する機関で、その役人たちの権限は極めて広汎にわたり、法律の作成、司法の最高責任、貿易・金融の監督、軍隊の統治など、実に多様な権限を行使していた。
さきほど登場した巡察官アレッチェも、その中の高官の一人である。



そうした高官たちの上には「副王」が君臨し、副王はリマにある壮麗豪奢な邸宅に住み、大勢の廷臣にかしずかれ、非常な高禄をはみ、植民地のあらゆる問題を司ることになった。


そして、その副王が治める副王領は、さらに幾つかの長官領と総督領と呼ばれる小単位に分かれていた。
長官領は、副王領の首府リマに比較的近く、副王の管理を受けやすかったが、総督領はリマから離れた地にあったため、ほとんど独立の機能をもっていた。




さらに、その総督領は代官領に分かれ、各大官領には代官が置かれていた。

それら代官の表向きの役割は、インカ族の人々を保護し、税を徴収し、領地内の平和を保つことにあったが、実際には、首府にいる上官の目が届きにくいのを良いことに、その権力を私欲のために行使し、インカ族の人々を酷使して私腹を肥やした。


実際、当時の代官のしていたことは、二重課税などの違法な税の取立て、農産物の一方的な安すぎる買いつけ、インカ族の人々の水利権の剥奪、牢獄に等しい織物工場(オブラヘ)での強制労働、生きては戻れぬ鉱山への人夫の派遣などで、いずれもインカの人々に想像を絶する苦難を強いるものばかりであった。

その上、代官は「強制配給」という名目で、眼鏡、染粉など、生活上でほとんど無用なものを信じられない高値で領民に強引に売りつけていた。


しかし、代官はその土地の裁判官や行政官も兼ねていたため、領民はどれほど理不尽な目に合わされようとも、そのような権限を持つ代官に逆らえようはずもなかったのである。
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