コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第4章 皇帝の末裔
コイユールの両親が強制労働を強いられたポトシ山は、この国を代表する有名な鉱山である。


その鉱山の町ポトシを中心とするポトシ郡に、近年、サンセリテスというスペイン人が長官として赴任してきた。

彼は、この時代のスペイン人にしては極めて珍しく、インカ族の人々の境遇に同情的な人物であった。


ポトシの鉱山での強制労働のあまりの酷さを見かねた彼は、労働条件の緩和に努め、スペイン人たちの虐待を防ぐために、スペイン本国にかけあってスペイン人の圧制を禁ずる法令を発しようと尽力していた。


だが、そうしたサンセリテスの行動は、スペイン人の役人たちの激しい不評を買ったのは言うまでもなく、彼は他のスペイン人の同僚たちからひどく忌み嫌われていた。

サンセリテスの突然の不慮の死が報じられたのは、そんな矢先のことであった。




「スペイン人たちに、もはや何も期待はできぬ」

険しく鋭い目をした、鷲鼻のインカ族の男、ビルカパサが沈黙を破った。

怒りに満ちた、それでいて感情をコントロールした冷徹な声である。
それだけに、鬼気迫る凄みがあった。


「その通りだ。
我々インカの民を救えるのは、我々自身の力だ!
スペイン人など、血祭りにあげてしまえばよい!!」

アンドレスの叔父、ディエゴが血走った眼で毒づいた。


「ですが、スペイン人たちは大量の銃や砲弾を持っています。
我々はオンダ(投石器)がせいぜいだ。
まともにぶつかって勝てる相手ではないことは、武勇に秀でたあなたなら重々わかっているはずだ、ディエゴ殿。
そんなに簡単なことではない」

神経質そうな、しかし理知的な面差しをした混血のフランシスコは、ディエゴの迫力に気圧されながらも、しごく最もな見解を述べる。




実際、インカ族には火器がなかった。

正確には、火器を持つことを制圧者によって厳重に禁止されていた。
さらには、その製造過程を見ることさえ、かなわなかった。


スペイン人との武器の差は、あまりに絶大だったのだ。
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