コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第1章 プロローグ
アレッチェは4年前の、あのいまいましい記憶を消し去るように、グラスの中の赤い液体を一気に飲み干した。


『"インカ(皇帝)"を偽って名乗り、民衆を搾取し、苦しめようとする者が後をたたないためです』
トゥパク・アマルのあの時の言葉が甦る。

確かに、偽って「インカ皇帝の子孫である」とかたり、スペイン人の役人と結託して悪行をたくらむインディオは実際に存在した。
トゥパク・アマルが、そのようなインディオ同士で苦しめ合うさまに、苦渋の念を抱いていたことは確かであろう。



「しかし……」と、アレッチェは眉をひそめた。

あの時のトゥパク・アマルの言葉は、むしろスペイン人権力者への皮肉であり、批判のようにアレッチェには感じられてならなかった。
それを、直接、この自分にぬけぬけと、いや、敢えて言い放ったのだ。






アレッチェの脳裏に、一つの不吉な予測が頭をもたげてくる。

(あのインディオは、自ら『皇帝』となることで、この国の絶対的主権者になろうとしているのではあるまいか。
そして、それを政治的闘争に利用しようと企んでいるのではあるまいか)

アレッチェはグラスを叩きつけるように机上に置いた。

(あの男なら、やりかねない!)


そして、トゥパク・アマルの書類を『最重要資料』の棚に戻すために立ち上がった。

トゥパク・アマル!――あのインディオは危険だ。
動向に注意せねばならない。


アレッチェの眼が獣のように鋭利に光った。
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