コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第4章 皇帝の末裔
「叔父上、俺が…」


そう言いかけたアンドレスを制して、フェリパ夫人がコイユールをかばうように男の前に立った。

「わたくしが呼んだのですよ、兄上。
コイユールは、わたくしの治療をしてくださっているのです」


だが、男は引き下がらなかった。

「いかん!
今日は、よそ者は絶対に、いかん!!」

「よそ者とは何です。
それに、男のかたばかり今日は多くて、コイユールには今夜のお食事の支度の手伝いをお願いしておりますの」



大男のがなり声を聞きつけて、広間の方からまた別のインカ族の男が出てきた。

戦士のような厳つい体躯をした、いかにもインカ族らしい野性的で精悍な面持ちの男で、鷲鼻と眼光の鋭さが印象的である。

「何の騒ぎですか」

感情を統制した声で、言葉遣いは恭しい。


そして、コイユールに気付き一瞬目を見開いたが、すぐにアンドレスに目をやった。

「アンドレス様、お知り合いですか」

「はい、大切な友人です」

アンドレスの澄んだ眼差しを確かめてから、男はアンドレスの叔父に向き直った。

「ディエゴ様、かまわないのではないですか。
アンドレス様がこのように仰っているのですから」


「しかし、ビルカパサ…」

大男は納得しかねる面持ちだったが、「さあ、ディエゴ様、お戻りください。トゥパク・アマル様もお待ちなので」と促され、渋々と部屋の中に戻っていった。




コイユールは足から力が抜けていくのを感じた。

「アンドレス、私…」

それでも、彼女は広間の方に行ってみたかった。


「かまわないさ、行こう」

アンドレスはしごく落ち着いたまま、彼女を部屋に上がるよう促し、そのまま広間の中まで連れていった。





無数のまばゆい燭台の灯りに照らし出され、広間の中は真昼のように明るかった。


コイユールは蝋燭の光に、一瞬、目を瞬いた。
それから、ゆっくりと薄目を開けながら、前方を見やった。


何やらものものしい雰囲気で、深刻気に話し合っている5人の男たちの姿が浮かび上がってくる。
その5人の中には、アンドレスの叔父や先ほどの厳ついインカ族の男も混ざっているようだ。



燭台の灯りに少しずつ目が慣れてきた時だった。

「――!!」


コイユールの心臓は止まりそうになった。
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