コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第4章 皇帝の末裔
「コイユール、遅い、遅い!」

アンドレスはわざと叱ったような顔をしてコイユールの額を軽くこづく真似をしてみせ、それからいつもの笑顔に戻った。


普段通りの彼の様子に、コイユールは内心ほっとした。

「遅くなって、ごめんなさい」


やや緊張を滲ませながらも落ち着いたコイユールの声に、アンドレスは彼女が意を決して来たことを察した。


アンドレスは彼女に笑みを返して、「行こう!」と二人で門をくぐる。

「昨日は何も言わなくてごめん。
今日は、すごい人が来ているんだ!
君にも一度会わせたかった」



アンドレスが説明をしようとした時、門前の武装したインカ族の男が、二人の前に立ちはだかった。

「アンドレス様、その娘は?」

「俺の友達だ。
怪しい者じゃない」

アンドレスはコイユールを伴ったまま、そこを通り抜けようとした。


「ですが!」

警護の男が、また二人の前に回りこむ。




その時、館の中からフェリパ夫人が顔をのぞかせた。

「まあ、コイユール、待っていたのですよ」


そして、館の中から出てくるとコイユールの手をとり、アンドレスと対峙している男に微笑みかける。

「この娘さんは私の知り合いなのです。
心配ありません」

「そうでしたか…」

男はかしこまって、三人に館の入り口への道を開けた。


アンドレスがコイユールの来訪について、事前に夫人に話しを通していたのだろう。
コイユールは導かれるままに館に入った。




大理石の入り口のすぐ内側にも、頑健そうな見張りのインカ族の男がいて、コイユールをちらりと一瞥したが、夫人とアンドレスに会釈をすると何も言わずに彼女を通してくれた。

夫人はいつにも増して美しいローブをスラリとした身にまとい、豊かな黒髪を黄金の髪飾りで結い上げている。



広間の方からは、数人の男たちの声が低く響いている。

すると、力強い足音と共に、昨日出会った大男がまた現われた。
あのアンドレスの叔父である。


男は目を見張って、コイユールを見下ろした。

「おまえ、なぜここにいる?!」


広間に聞こえぬよう男なりに小声で言ったようだが、恐らく広間まで十分に聞こえていたであろう。
36
最初 前へ 33343536373839 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ