コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第17章 苦杯
アンドレスがこれ以上は口を開きそうにないのを察したロレンソは、穏やかな口調のまま問いかける。

「マルセラ殿か?」


え?――という表情でこちらに視線を返したアンドレスに、ロレンソは静かに微笑み返す。

「違うかとは思ったけれど、念のため、聞いておきたかったのだ」


ロレンソの意味ありげな言葉に、今度はアンドレスが身を乗り出した。

「もしかして、ロレンソ…!
マルセラを?!」


目を瞬かせながら夢中で自分の顔を覗き込んでいるアンドレスに、ロレンソは落ち着いた声で応ずる。

「ああ、そうだ。
そなたとは恋敵にはなりたくなくてね」


「そうだったのか…!!」

アンドレスは深い感慨を込めた声で言う。


そして、瞳を輝かせながら、大切な朋友を眩しそうに見つめた。

「マルセラは、昔から男勝りで、お転婆で、まるで少年のようだった。
でも、本当はとても心根の美しい、気立ての優しい女性だと思う。
そうか、マルセラを…君が…!!」


感動を素直に滲ませながら、あの輝くような笑顔で己を見つめるアンドレスを、ロレンソは涼やかな大人びた眼差しで、「そなたにそう言ってもらえるのは嬉しい」と答える。


しかし、少し低い声でつけ加えた。

「だが、マルセラ殿が本当に想っているのは、そなたのことだぞ。
アンドレス」


「え?!」

アンドレスは目を見開き、固唾を呑む。


ロレンソは目元を細め、僅かに視線をそらした。


「まさか…。
マルセラが、お…俺を…?」

やや混乱した表情で呟くアンドレスに、ロレンソは微かに溜息をつく。

「そなたは、こうしたことには、全く鈍感なのだな」

そして、少し寂しそうに微笑んだ。
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