コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第17章 苦杯
そのような己の様子に気付きさえせず、その上、客観的に見れば、この切迫した戦乱のさなかに熟考するようなこととは到底思えぬ問題に心は占められ、だが、もはや、その思考を止めることはできなかった。

「はあっ…」

無意識に大きな溜息をついてから、彼は木にもたれたまま腕組みした。


昨夜、トゥパク・アマル様と、どうだったのだろう…。

コイユールは昔から、トゥパク・アマル様のことをすごく慕っていたからな。

手術中、何時間も一緒にいたんだよな。



コイユールは、その間、ずっとトゥパク・アマル様に触れていたのだ――!!

突如、アンドレスの心臓がギュッと鷲掴みにされたように痛んだ。


彼は激しく頭を振る。


「ああっ!!
もう、俺はこんな時に、一体、何を考えているのだっ!!」

すべてを振り払うように、アンドレスは叫んだ。





「アンドレス、そなた、どうしたのだ?」

突然、前方から声がした。


飛び上がらぬばかりにギョッとして、アンドレスは石のように硬直した。

それから、全く滑稽なほどに、恐る恐る声の方を見る。


視線の先には、ロレンソが唖然とした表情で立っていた。


「な、なんだ、ロレンソか…!」

アンドレスはまだ驚きの余韻を引き摺りながらも、相手が朋友のロレンソであったことに、かなりホッとして深く胸を撫で下ろした。


一方、ロレンソは訝し気な表情のまま、「なんだとは、なんだ?アンドレス」と切り返しながら、じっとアンドレスの顔を探るように見る。


「それにてしも、アンドレス、隙だらけのそなたの様子こそ、一体、なんだ?
敵の伏兵でもいようものなら、あっさり一撃であの世いきだったぞ」

呆れながらそう言って、詰め寄るように問う。

「何を考えていた?」

「な、何もっ…!!」
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