コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第3章 邂逅
外気はさらに冷たかったが、幸い空は澄みきっていて、月明かりがコイユールの手元を照らしてくれた。


重厚な本の表紙に、そっと指先で触れてみる。


濃い緑色の布張りの立派な装丁で、表紙には金箔の縁取りと文字飾りがほどこされていた。
ところどころの布が薄くなっており、熱心に使いこまれた形跡がうかがえた。


ページをめくると、花や果物、日用品などの西洋風の美しい絵と共にスペイン語の単語が添えられている。




随所にアンドレスの筆跡と思われる文字で、走り書きのメモが残されていた。

くっきりとした整った文字である。
細い指先でその文字をなぞってみる。




コイユールは、月を見上げた。


今日、夫人の館で、窓辺から差し込む夕陽を受け、黄金色の光を放っていたアンドレスの鋭い瞳が脳裏に蘇る。
それは、本当に、金色に燃え上がる炎のようだった。

そして、自分の心の中にも、同じ炎が燃えている。
そのことを、今は、はっきりと感じとることができた。



月はゆっくりと動き、薄い雲の中に入っていった。
霞のような雲のむこう側から、月明かりが漏れている。
そして、さらに月は動き、再び雲をぬけて、その濡れたような光でコイユールを照らした。


何かが動き出している…、自分の周りで、そして、自分の中でも――!

そんな予感が、全身を静かに走りぬけていった。
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